自分のフライフィッシングは、出来るだけ太いティペットで、出来るだけ大きい毛鉤で、出来るだけおおらかに、季節感を感じながら川を歩く事にある。もういい歳なので、はっきりと言い切れる。それは1つの土地に暮らしているからであり、しかも20回以上の春と梅雨と夏と秋を体験して、緊張感や焦りはどこかに行ってしまったから。ティペットは5X、毛鉤は#10、これがお決まりのスタートで、夏や秋には時々#8になったり、#12になったり。でも、ティペットは5Xのまま。
いくらか話は逸れたが、その#10の毛鉤はもう長いことヘアウイングダンと、パラシュートの2パターンに集約されている。ヘアウイングダンはレトロかつ超ベタな毛鉤だが、メイフライのスタンダードなダンパターンでありながらもカディスの要素を多分に持つという、なんと重宝してしまうパターンなんだろう。では#10の虫がいるのか?、#10のメイフライがいるのか?、#10のカディスがいるのか?、しかもシーズンを通して目にするのか?、そこが問題だ。移住してからしばらくは#12で釣りをしていたが、ある日曜の15時頃のホームリバーで、大きなカディスっぽい虫がハラハラヒラヒラしている事に目が行った。ずっと前から何度も何度も目にはしていたが、水面の50cmほど上をハラハラヒラヒラ。時には巻き返しに落ちて水面に羽をペタペタと飛び立とうとしていた。捕食の場面をしかとは見ていないが、その数日後には自分の毛鉤が#12が#10へサイズアップ。その川で使える一番大きな毛鉤の誕生となった。一応は、マッチ・ザ・ハッチかな、と。
皆さんもあるはず、「なんかデカいカディスが飛んでたなあ」「チョウみたいなやつも飛んでたなあ」ってね。それは、シャクガの仲間ですよ。昨シーズン(2023)にくたばりそうなやつを路上で捕獲して、図鑑をペラペラ、ネットを検索。やはりネットはその筋のお方たちがまとめてくれているので、大助かり。正体は、チョウ(蝶)じゃなくて、ガ(蛾)だった。簡単に言うと、シャクトリムシが成虫になったらシャクガになって、ハラハラヒラヒラだったなわけ。そして、シャクガは何十種類もいて、地域性も、色と形も、けっこう個性がある。でも釣り場で良く目にするのは、クリーム系の2~3cmくらいのシャクガだろう。解説を読むと、家に近くにも普通にいて、1年中いるとある。奥会津はさすがに雪国なので、雪解けでササや草が出てくる頃から雪の積もりだす頃までいる事になる。2023年は禁漁になってもシャクガの観察をしていたら、わさわさと言えるくらい家の周りにもいた。『昆虫エクスプローラ』さんのシャクガの頁で見て下さい。
シャクガの色が色々でタイイングに困るが、ちょっとくすんだクリーム系か薄めのグレイ系で遠からずとしよう。テイルはないのでカディスパターンの方が良いかも知れない。しかし、水面を転がるというよりはどんくさくハラハラヒラヒラなので、水面にとどまってくれた方が良いかも知れない。もう、どっちでも良い、個人の好きな方で。ただし、ヘアは長めで乗せてね。で、量産したら、こうなる。そう言えば、イエローボディのヘアウイングダン#10で、春香クリスティーンさんも爆釣したっけ。
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